戦争映画は多分初めて観たと思う。
物語の起伏を感じられず退屈だった。しかし、だからこそリアルに感じられてヒットしたのかもしれない。
上映時間は2時間49分あり、比較的長い映画だ。序盤の作戦シーンが長い。終盤の作戦シーンも長い。
しかも気分が悪くなるようなシーンが延々と続く。人が人を殺すためだけに突き進む。戦場では命が物凄く軽い。人が死んで1秒後にはまた別の人が死ぬ。
人間一人につき一つの人生がある。現代社会に生きる私にだって、しょうもないかもしれなくても積み重ねてきた人生がある。これからの人生についても、おぼろげでも計画がある。
そういう物が簡単に吹っ飛んでいくのが戦争だ。機関銃のトリガーを長押しして横にスライドさせたら何百年分もの人生が消し飛ぶ。おはじき遊びのような感覚でポンポンと。
こういうものを長々と見せられて気分が悪かった。戦争って何だ。ただただ残酷で虚しい行為を避けることはできないのだろうか。
若く臆病なアパム。最後の一撃は自分のしでかしたことへの尻拭いだろうか。任務を達成すれば敵も自分達と同じく人だと思っていたのか、捕虜に優しく接していたアパム。その捕虜が敵兵として戻ってきて仲間を殺していく。だから味方のために彼を殺した。戦争が人を兵士にする。
神を信じる狙撃手。恐怖も罪悪感も全て神に託すことで、戦場でも常に落ち着きを保った最強の狙撃手となっていたように思える。自分には神がついている、自分こそが正義だと言い聞かせているような。そうしなければ正常な精神でいられないのが戦場なのだろう。
偽ライアンやレコードを流すシーンを除いて、ほとんどの時間をネガティブな感情を持ってこの作品を観ていた。非常に退屈で気分が悪くなる内容ばかり。結局この作品から得られたのは戦争に対する大きな嫌悪感だった。
以上。