アールジュネスはイラスト版画の販売をしている会社だ。そこが開催している版画の展示販売会に行ってきた。
行ってみた理由
先月くらいからTwitterを見ているとアールジュネスによるカントク展の広告が頻繁に出てくるようになった。正直鬱陶しかったが気まぐれで詳細を読んでみると、自分の住んでいる地域でやる予定で、来場無料なのに予約特典がもらえるということで、さっそく予約してしまった。
後になって良く調べてみると「販売会」ということもあって、スタッフさんが積極的に声をかけてきて売り込みをしてくるらしかった。でも、版画というのがどういうものか知らなかったので、無料ならまあ良いかと行くことにした。
会場のようす
会場はふたつに分かれていて、隣ではアールビバンという系列会社がクリスチャン・ラッセンなどの絵画やその版画を展示販売していた。
とりあえずカントク展の方に向かう。真島ヒロ先生のフェアリーテイルや深崎暮人先生など他のイラストレーターさんの展示会も同時に開催されていた。
入口ではカントク先生のセクシーイラストが描かれたグッズが販売されていた。この開けた会場で、隣はラッセンなのに、異様だが面白い光景だった。グッズはカレンダーやタペストリー、薄い同人誌、分厚いアートワークスなどなど。
版画とは
版画は何百何千回と重ねて印刷しているとのことだったが、印刷した跡のようなものが見当たらず、筆で描いたようにも見えるが超精細で凹凸が無く、しかし要所要所で厚みを出すことで立体感を出している、素晴らしくリッチなものだった。
ただ、値段もその分高く、最低でも30万円くらいはする。正直、家族の目に耐えられないので安くても飾れないが。
フェアリーテイル版画展
フェアリーテイル版画展が人気なようだ。意外と女性がいる。30代くらいの男女ペアも何組かいた。イーゼルに版画を立ててご満悦の表情を浮かべる男性は、スタッフさんと嬉しそうに会話していた。
フェアリーテイルについては何も知らないので良いのだが、何故誰にも声を掛けられなかったのだろう。
カントク展と売り込み
カントク展にはほとんど人がいなかった。ボロボロの上着を着たボサボサ頭のいかにもな男性がいた。自分もいつかそうならないようにしようと思った。
しばらく眺めているとスタッフさんに声を掛けられた。最初は「自分じゃないかも」と思って無視していたら、めげずに話し掛けてくるので反応してしまった。この時は絵の見方や光の当て方、絵の仕組みといったことを教えてくれた。
一周したところでボーっとしていたら、またスタッフさんに話し掛けられた。今度は「無料で持ち帰っても良いならどれですか」とのことだった。売り込み開始だ。
実は予習していた。人間は言動に一貫性を持ちたがるという心理を利用した売り込みをしてくるらしい。気に入ったものを選ばせて、買えない理由を聞いて、買える理由にすり替えてくる。スタッフさんの意見に同意し続ければ、最終的には「ここで買わなければ自分は途中で意見を曲げた変な奴ではないか」と思い込んでしまい版画を買ってしまうことになる。
対策は「曖昧なことを言い続けること」だと思う。どれが良いかと言われれば、「選べない、全部好きだ」と言えば良い。3つだけ選んでと言われれば、「10個は欲しい」と言ってみる。そのうちスタッフさんも諦めるだろう。
とりあえずそれだけだとつまらないので、カントク先生良いよねって話もしておいた。知ったかぶりだが。スタッフさんも「こちらの先生は○○や××というエロゲのイラストを描かれています、ご存知でしたか」とか言っていた。詳しいのは良いことだと思うのだが、公共の場所でエロゲの話をするのはやめていただきたかった。普段は普通にオシャレしてそうな見た目なのに。
好きだったイラスト
一番良かったと思ったのはカカオランタン先生の作品だった。説明書きの通りゴシックな雰囲気。色使いや光の入り方が好み。実物は立体感もあって豪華に見える。
カントク先生の版画は特に惹かれなかった。タペストリーに使用されていたイラストが一番好きだった。「一緒にお昼ご飯」という作品だ。pixivに元となった絵があったので保存しておいた。
ラッセン展
適当に引き離してグッズコーナーを一回り。せっかく来たので買おうか迷ったが押入れの肥やしになることは確実だったのでやめた。ラッセンの方の展示会場へ向かう。
ラッセン氏については良く知らなかった。Wikipediaの記事も日本語しかない。日本だけで超人気の画家ということだろうか。
実際に見てみて、キラキラしていて派手派手で、精密だけど作り物っぽくてリアルではなく超リアルって感じがした。ただ、ファンには悪いが、個人的には綺麗なだけでそれがどうしたという気持ちになった。そしてそんな感じの作品がずーっと続くので面白くはない。まあ、萌え系イラストの展示会を見に来た人間が言えることでもないか。
他にはスィベル・ギュレー展とリャド原画展、ディズニーアート展がやっていた。リャド氏の絵は一度描いたものから気に入った部分だけを切り取り、それ以外は塗りつぶしているらしい。よく分からないが面白い。
購入した人
会場の隣ではワクチン接種が行われていた。そこから来るお客さんもいるようで、なんとその場で版画の購入を決めてしまう人もいたようだ。調子の良い人もいたものだ。
予約特典を飾ろう
予約特典としてカントク先生のイラストが描かれたA4サイズのクリアポスターを貰った。ペラペラですぐ折れそうだったが何とか綺麗に持ち帰った。百均で買った額縁に入れてみたらそれっぽくなったので少し嬉しかった。
イルカが描かれているのでラッセンも同時に感じられる優れもの。
最後に
大きくて丁寧に印刷されたイラストを見れたのは楽しかった。PCモニターに映されたイラストや普通の印刷物と違って版画は質感がダイレクトに伝わってくるから面白かった。
スタッフさんは鬱陶しいけど嫌われても良いという気持ちで対処しよう。
次はまた行くかもしれないけど、それより普通に美術館に行った方が落ち着いて楽しめそうな気がする。
以上。