山梨県立美術館でミレーとかテルマエとか

最近、今までの人生でやってこなかったことをやろうキャンペーンを実施している。とりあえずお手軽に行ったことのない所に行ってみている。

 

ということで、今回は人生で初めて自主的に美術館に行ってきた。想像してたより広くて大きい。車から降りれば噴水の激しい音が聞こえる。駐車場から木々の間を抜けると広場と大きな建物が見える。周りにはケンタウロスを始めとした銅像がいくつも置かれている。

 

 

受付を済ませ、まずはミレーの作品を見に行く。ミレーと言えば「種をまく人」や「落ち穂拾い」だろうか。農民の生活を描く画家だというイメージがある。私には絵画の知識がほとんど無い。作品の見方も良し悪しも分からない。

 

展示室に入ると作品が発表年毎に並べて飾られている。描く対象や技法が年代毎に移り変わっていることが良く分かる。素人としての印象だが、ふわふわとした柔らかいもの、渋くて泥臭いもの、鮮やかで力強いもの、というように変化したように見える。後でミレーの生涯を紹介したビデオを観たが、心理的なものが強く反映されていたのかも知れない。依頼されたものを作っていた時期、描きたいものを描き始めた時期、売れて生活に余裕ができた時期。人生の流れと作風の移り変わりを同時に感じるのは面白い体験だった。

 

私が気に入った作品は「古い塀」だ。まず、ごつごつとした石垣の立体感に惹かれた。塀には大量の草が生い茂り、そのまま視線を下に向けると、小さくとも力強く生きるカエルやタンポポが見付けられる。また全体をぼんやり眺めていると奥からシカが現れる。ミレーが見ていた古い塀が目の前にあったかのように感じられた。

 

ミレーの仲間、バルビゾン派の作品も展示されている。風景や農家、家畜が描かれている。私はこういう重い色使いや質感で風景や自然を描いた絵が好きなのかもしれない。

 

日本の芸術家の作品もたくさん展示されている。しかし私には向かない絵ばかりだった。

 

テルマエ展が期間限定で開催されている。10年程前にテルマエ・ロマエが映画化されて有名になった古代ローマの公衆浴場テルマエ。古代ローマの文化の紹介や日本の風呂文化の展示もある。

時間帯もあるのかも知れないが、イメージしやすいテーマで興味がわきやすいのか、それなりに客が入っていた。ヒット映画というのは10年後にも影響を残すようだ。もちろん私も影響を受けていて、映画を知らなければ美術館に行くことはなかったかも知れない。

テルマエ展では特別に写真を撮ることもできる。貴重な美術品と思われるものは撮れないが、レプリカや当時使われていた雑貨等は撮れる。横に並んで記念撮影をする人もいた。

当時の品物には神話に基づく装飾が施されているものが多い。娯楽も神話のようだったし、それほど身近で大事なものだったのだろう。

 

 

ところでどうやって大きな展示品をガラスケースに入れているのだろう。重量があるし傷は付けられない。台にケースがすっぽりとハマっている。

 

お土産店には展示品の写真が収められた本や、炭化したパンのクッション、ケロリン関連品といったようなテルマエ展グッズが並べられていた。

 

thermae-ten.exhibit.jp

 

もう少しゆっくり回りたかったのだがお昼だ。3時間半くらい滞在していたようだ。ひとつひとつ全体を見て細部を見てと繰り返していると1日では足りなそうだ。展示品も定期的に入れ替わるらしい。また今度行くしかないか。

絵画や美術品というのは今ではインターネットでも無料で見られるものが多いし、Youtubeで解説付きで紹介されることもある。でも、写真と実物とでは感じ方が全然違うことが良く分かった。写真では質感を捉えることはできないし、サイズ感も分からない。本物を見ないと本当の感動は味わえない。

 

以上。