映画「秒速5センチメートル」

この映画が公開されて数年間はネットのオタクたちがこの映画を推薦する書き込みをよく見かけた。当時はどれだけ面白いのだろうかと気になっていたが、観る方法が分からなかったので観なかった。

 

10代特有の繊細で大袈裟な心情が丁寧に描かれていた。大人になれば些細なことでも、あの頃は重大に思えた。

ジワジワと焦らしてスルッと緊張感から開放される。悲観的な感情が長い時間を占める。さすがに長くて我慢するのが辛くなる。それが視聴者と主人公の心情をリンクさせる。

幻想的か空想的か。プラトニックでこの後の人生ではもう絶対に体験できない初恋。この時だからこそできる。

 

でも私には合わなかった。共感できる部分はある。彼らに近い感情を持っていたこともある。生々しいからなのかもしれない。現実と理想がもやもやとまぜこぜになって過去に思いを馳せる主人公の弱々しさが私にもあるからかもしれない。

誰にも触れられたくなかった気がする。主人公に共感できるからこそ不快な気持ちになってしまった。だからもう一度観たいとは思えない。

 

ところで監督は飛翔物が空を分ける構図が好きなのだろうか。もしくは宇宙への憧れがあるのだろうか。この映画のロケットや「君の名は。」の彗星からそう感じた。

 

以上。