映画「異動辞令は音楽隊!」を観たよ

昔ながらのやり方で現場一筋30年の刑事が警察音楽隊に異動になった話。

 

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この映画のキーワードはセッションか。

家族も同僚も顧みず、ただひたすらに自分の信念が正しいのだと信じて生きてきた主人公は、周りから疎まれて孤立していた。

刑事という仕事に対して情熱があり、正義感もあった。ただ、彼の生き方が周りに合っていない。彼の時間は30年間ほとんど止まっているかのようだ。眼鏡も服装も態度も捜査方法も全てが現代にはそぐわない。

そのことに彼が気が付くまでに上映時間の半分くらいは掛かったと思う。その間はずっと焦りと惨めさで重苦しい雰囲気が続く。

初めてのセッションから彼の態度はガラッと変わる。楽しかったのか、気持ち良かったのか。なぜこうなったのか語られることはない。ただ、誰かと一緒に協力すれば良い結果を掴めるということに気付いたのかもしれない。

初めて亡くなった被害者の事件についてはただ胸糞悪い気分になった。後輩が主人公の成長に気付くきっかけになる重要な事件ではある。会議室に飛び込んできた時は刑事に執着する惨めな人。現場に飛び込んできた時は他人のために本気になれる尊敬できる人。そんな風に印象が変わっていたのではないかと思う。でも死ぬのが必然みたいになるからこういう展開はあまり好きではない。

娘のバンド仲間が同年代には見えない。

グダグダ逮捕劇はコミカルなシーンとして捉えよう。結局は音楽の力では解決しないのかと残念な気持ちになったが、あのノリノリな知事であれば解散に反対した気がする。

演奏会でのドラムとトランペットのセッションは小屋で演奏した時と同様のもの。あそこからここまで来たのだと思うと感慨深い。

 

主人公にとってのきっかけは音楽だった。周りとうまくセッションできれば、私達にも良いことがあるのかもしれない。

 

以上。