アニメ感想「シュガーアップル・フェアリーテイル」

あらすじがとっても幻想的で素敵。妖精に砂糖菓子。キラキラして楽しげなイメージだ。2015年に原作が完結しているのに今からアニメ化だという。珍しい。原作が少女向けのレーベルなのは多分初めてだけど自分に合うだろうか。

 

感想

タイトルほど甘くない。差別に派閥に偏見まみれの世界で必死に戦う砂糖菓子職人の話だ。たくさん嫌な奴が出てくる。たくさん妨害される。ストレスが溜まる展開が続くが、カタルシスを得るには辛抱強く待たなければならない。

それでも私はこの作品が好きで、観ているとあっという間に時間が過ぎていった。

どんな逆境でも努力して実力で周りを認めさせるアン。口が悪くて嫌味を言うけど本当はアンを大切に思っているシャル。空気読めなくて嘘も吐けないけど、たまに役に立つ元気なミスリル・リッド・ポッド。みんな応援したくなるような良いキャラだ。悪役もそれぞれ事情があって容赦がなく、過酷な世界で誘惑に負けてしまってはいるが、そこに人間味を感じられて魅力的だ。

 

キャラデザはかわいらしくも独特でオリジナリティがある。瞳の形に特徴がある。色使いもファンシーで世界観にマッチしている。キャラデザ担当者を調べると飯塚晴子さんという方で、私の好きなアニメのキャラデザをいくつも担当していて何だか嬉しくなった。

 

劇伴も落ち着いていて中世のおとぎ話っぽい雰囲気にマッチしている。サントラがspotifyでも配信されていたので、通勤中にでも聴いてみるつもりだ。

オープニング曲は3拍子のワルツっぽい明るく前向きな曲でアンにぴったりだ。(サビで右側のコーラスが飽和した感じなのは正常なのだろうか。)

 

あまり物語に関わらないが説明不足な部分が多少あった。

ジョナスの人物像については、アニメだけだと幼馴染かと勘違いしてしまうが、原作小説の冒頭を読むと全然違うことが分かる。

これは後から説明があったが、砂糖林檎は自然にしか生えない。松茸みたいなものだ。背景作画が簡素なものだったので、手入れされた農地かと勘違いしてしまうが、別に盗んでいるわけではない。

 

とにかく7月からの第2クールが楽しみだ。

 

各話メモ

1話

イケメンと少女の絡みでも結構ニヤつきながら観られるな!次回も観ていこう!

アンの理想は現時点のこの世界では単なる綺麗事。手のひらサイズの妖精が踏み付けられることより、小柄な少女が痛め付けられることの方に普通の民衆は反感を抱く。アンも結局は戦士妖精を護衛用に購入している。友達になりたいと言いながらも対等ではない。これからどうやって関係を深めていき、人間と妖精が対等な世界を作っていくのかが見どころのひとつになるのだろうか。

この世界の妖精ってなんだろう。シャルも小さいのも妖精。キレイな羽が心臓。小さいけど結構力持ちだったりするのだろうか。

小さい妖精はオープニングにも登場していたから今後も出番があるみたい。仲良さそうにしていて良かった。

あとは、髪のハイライトとか瞳の形とか、個性的なデザインをしていて面白い。

 

2話

世界観説明のような部分が多かったけど、妖精の成り立ちが幻想的で良かった。

アンは15歳でもう大人だと言い張っているけど、まだまだ幼い言動が目立つ。母親を亡くして半年ということなので、無理矢理頑張っているのだろう。それに妖精のことについてもほとんど知らないようだ。理想と現実の間で葛藤するアンがどのように成長するのか期待して観ていく。

ミスリルは実戦では何の役にも立たなそうだけど、賑やかで元気で頑固だけど、アンを励ましてくれる。心の支えになってくれそうだ。

ジョナスは甘やかされて育ったお坊ちゃんっぽさがある。あんまり状況が読めてないけど生き残れるのか?

 

3話

ジョナスは強引で押し付けがましいのが気持ち悪いなと思っていたら、ストーカー気質で頭がおかしい奴だった。なんなんだこいつは。

シャルの態度がだんだん柔和になってきた。元々人間とは仲良くしていたけど、過去の一件から距離を取るようにしてたのかな。でもアンの真っ直ぐ向き合おうとする態度に影響を受けているようだ。

 

4話

創作活動には感動が不可欠だ。またあの妖精に会って感謝を伝えられたら良いね。

今回は王家勲章が貰えなくて残念だったかもしれないが、多くの人に実力を認められて良かった。次回からは来年に向けて修行かな。オリジナルを考えないといけないし。

シャルはキザ過ぎる。なんだこのイケメンめ!なんだかんだアンのことを気にかけてくれている。銀砂糖より甘い空間が出来上がっちゃってるじゃん。

 

5話

シャル、火に手をかざせば指先は暖まるんだよ…。

母親以外の職人と初めて砂糖菓子を作ったのかな。良い経験になっただろう。キャットの職人としての考え方も良い。

ミスリルとベンジャミンのコンビが可愛かった。また会うことはあるのかな。

 

6話

政治的な話で知らない横文字がいっぱい出てきたけど、あんまり理解できなかった。とりあえずアルバーン公爵に問題があるってことかな。

むかつくジョナスが再登場。意外とそれなりの実力はあったのか。ここできっちり勝負を決めてスッキリしたいな。

人によって妖精に対する考え方が違うらしい。一般的には奴隷のように見てるけど、食堂のおばさんは条件付きかも知れないが対等に見てるし、アルバーン公爵は何か特別な感情があるようだ。

 

7話

キャシーは何故ジョナスを慕っているのだろう…。今回も性格の悪さを見せ付けて終わったんだけど…。

クライアントとの行き違い。アルバーン公爵は言葉が足りな過ぎる。まあ今回は病んでるっぽいから仕方が無いか。

ミスリルは裏表がなくて気持ちが良い。恩返しとか関係なくもう既に良い友達だな。

シャルはよく分からないまま泣かれて別れを告げられてかわいそう。やっぱりジョナスは許せない奴だよ。

 

8話

人前でイチャつき過ぎだろ!

寿命に極端な差がある者同士の話は切ない。アンとシャルもいつか別れが来る。恐らくシャルは何百年も生き続けるのだろう。

細かいけど、肖像画と実際のクリスティーナの見た目全然違うと思う。

 

9話

1年飛んだ。細かいエピソードは飛ばしてる感じなのかな。途中の話も観てみたかったな。

ラドクリフ派が酷い。女性で実力があるからって根も葉もない噂でアンを貶めようとする。元々、女性の職人は差別される世界観のようだがそれにしても酷い。

キースのような正統派イケメンライバルキャラがいてくれなければ品評会には出れなかっただろう。それにヒューやキャットや公爵と出会わなければ実力を示せなかっただろうが、逆に嫉妬の逆風で前に進むのが難しくなっているジレンマ。なんとしても銀砂糖師になって黙らせるしかないな。

それにしてもアンってずっと苦境の中にいるな。女性で無所属の砂糖菓子職人で、愛玩妖精のような見た目のシャルと対等な関係でいる。周りからは差別的な目で見られてるけど、そんなのは跳ね除けて頑張っている。芯があって強い意志を持つ人物だ。応援したくもなるよ。

 

シャルの「離れていたいのか」ってなんなんだ。かっこつけやがって。ニヤニヤしつつも吹き出しそうになったよ。

 

10話

ハラハラしてきた。勘違いからのすれ違いなんてよくあるパターンではある。これからシャルは自分の気持ちにちゃんと気付くんだろうな。

ブリジット、典型的な無意識の差別だ。視聴者目線だとムカつくけど、この世界では一般的な思考だろう。でも君が好きなのはシャルの顔だけでしょう。嫌なヤツ。

女性職人差別は神話から来ていたのか。宗教として根付いているのなら覆すのは難しそうだ。アンは頑張っているし良い作品を作れるけど、流石に今回は足手まといで疎まれても仕方が無いな。

品評会が近いのにこんなモヤモヤしたままで作るものも決まってなくて大丈夫かな。

あと、釜が怖すぎる。落ちたら死ぬ。ヒヤヒヤする。

 

11話

最初は崇高な信念で始まったとしても周囲の人間の私利私欲によって歪められてしまう。このアニメの世界もそうだったんだな。もしかしたら王家はそのことを知っているけど民意を変えることができずにここまで来てしまったのだろうか。

ジョナスのことはやっぱり嫌いだけど、以前不正行為をしてしまったのはプレッシャーによるものだと理解できるし、アンに負け続けることで誠実さを取り戻しているようだった。助けを呼びに走り出した時は情けないなと思ったけれど、助けるのはシャルの役目だから仕方ないね。

砂糖菓子はとても綺麗だった。でもこれ結構デリケートな問題に突っ込んでいるような気が。品評会でどんな評価を受けるか気になってくる。

ラドクリフ氏も口ではそれほど良い評価をしなかったけれど、素直に認めることができないだけのように見える。メンツかな。サミーのせいにしないのもメンツ。本当は分かっているんだろうな。だから追い出したけど砂糖菓子は持たせてくれた。ジョナスは不憫。巻き込まれ損。

まあ、準備はできてるし、あとは品評会に出るだけ。なんとかなって良かった。

 

12話

なんとかなってなかった。最後まで妨害され続けるとは。

そして胸糞悪い終わり方。一年越しに銀砂糖師になるという目標を達成して嬉しいはずなのに、最愛のシャルとは離れ離れで気持ちはどん底だ。

7月に第2クールが決まっているらしいが、それまでモヤモヤした気持ちでいろというのか。職人としては一歩前進で一段落ついたので、恋愛方面をじっくりやってくれるのを期待したい。

 

以上。