ドラマ感想「転職の魔王様」3話

「とりあえず3年はもはや死語です」

人間誰しも仮面を被って生きている。職場での上司としての仮面、家庭での親としての仮面、友達に見せる仮面。話し方も態度も性格も別人に見えるけれど同じ人だ。うまく仮面を使いこなすことで社会生活は成り立っている。今回はその仮面のひとつが分厚くて剥がしても跡が残ってしまうような人の話だ。

 

嘘くさい営業マンっていっぱいいる。営業マンでもないのに嘘くさい返事しかしない人もいるがそれは置いておく。今回の笹川もドラマらしく大げさに表現されているわけではなく、まさにこのような人がいると思えるような描かれ方だった。

上辺だけを取り繕ってヘラヘラ笑っている。レビューサイトの星の数を気にして自己判断できない。空気を読んでいるようでいて面白みに欠ける、その人らしさのない応対。

でもそれは仕方がないとも思える。就活で型に嵌められる。同じような服装、同じような履歴書、同じような面接回答。ありもしない正解に縋って何となく就職できたとしても、それは自分自身が就職できたと言えるのだろうか。そのまま偽りの自分で仕事をしていくような真面目な人ほど自己とのギャップで壊れてしまいそうだ。

 

やはり結論は自分の本心に気付いて、自分の強みを見付けるしかないということか。

 

途中で取引先との会食中に仕事の資料を取り出すシーン。すごくハラハラした。やめろやめろそれは絶対だめだ早くこのシーン終われええって感じ。何が何だか分からなくなった人間の迷走っぷりがうまく表現されていた分、私への精神負荷が大きかった。素晴らしいと思う。

 

デザイン部門の人達に理解があって良かった。あれで一瞬もピリピリしないのってすごい。普段から笹川がうまくやっているからかもしれない。上司にも別部門にも理不尽に責められたら病気で退職もあっただろう。上司が自己中心的なだけで全体としては悪い職場ではなかったのかもしれない。観ながら転職しない道もありそうだと考えていた。

 

以上。