「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」を読んだら世界が恐ろしくなった

世界の仕組みを知れば知るほど恐ろしくなった。

 

私が中高生の頃は科学が好きで、科学雑誌や本を読んでいたことがあった。だからこの本の内容は何となく聞いたことがあって、すんなり読み進めることができた。

この本には小難しい数式は書かれていない。細かくて難しい説明がクドクドと書かれてもいない。ただ身近にあるものを例にして世界の仕組みを説明している。日常に溶け込んで当たり前になっている現象も、よく考えれば不思議で面白い。

専門用語については解説し切れていない部分もあるが、高校レベルの基礎的な話が理解できていれば、それほど難しくなく読み進めることができるだろう。

 

恐ろしいのは量子論の話だ。

私たちが通常認識しているマクロな世界では、計算すれば物体がどのような動きをするのかを予測可能だ。株価ですら予測できるという。それなのにミクロの世界になると途端に曖昧さが増す。

例えば、電子は電子殻の軌道上を沿って原子核の周りを回っているという図を教科書では見たことがある。でも実際にはそこにある可能性が何パーセントかということしか分からない。電子の存在は分かっているのにどこにあるのかははっきりしない。

私もあまりよく理解できていないが、電子は量子の一種で、量子は世界を作る最小単位で、粒であり波であるという。そういう存在だからそうなっているのだということしか分からない。

量子はトンネル効果という現象で壁抜けもやってのける。まるでゲームのバグ技だ。そう考えると世界もあやふやな部分があって、何かの拍子に消えてしまうのではないかという不安がよぎる。

 

相対性理論も恐ろしい。光速で運動する物体の時間は進まない。だから光速で進めば瞬時に何億光年先の惑星に辿り着くこともできる。技術的には無理だが。やっと映画インターステラーを少し理解できた気がする。光速で一度飛び出したら帰る場所はもう無いのだ。

 

私がいる宇宙は、私がいるから認識できる。では認識している私とは何か。私の意識とは何か。死んだらどうなるのか。

意識はどこから来てどこへ行くのか。なぜ自分の意識は自分の物なのか。宇宙はどうして始まったのか。宇宙はなぜ存在するのか。死後の自分の意識はどうなるのか。

でも色々考えても結局そうなっているからそうなのだとしか言い様が無いのかもしれない。物理学の進歩で発見された光速などのあらゆる数値は理由も無くそう決められているように見える。だから私はたまたまここに存在するから存在する。特に理由は無いのだろう。

理由が無いのも恐ろしい。始まりと終わりがあるのも恐ろしい。終われば帰って来られないのも恐ろしい。

 

でも知らなければ良かったとは到底思えない。むしろもっとちゃんと知りたい。在るから在る。それでも良い。それならば私はやりたいからやるだけだ。

 

以上。